農業に研修は必要か

2017.02.14(16:52)

 前回からの続きです。農業始めるには、まず農業研修をする。その考え自体がまずは間違いであると、私は言い切れます。農業研修所で学ぶことは、ほぼ全て自身の独学で学べます。一昔前ならいざ知れず、現在は農業の本が読み切れないほど出版しています。月刊誌も出ています。ネットも、農業関係を検索すれば、山ほど出てきます。それらを見ながら、調べながら、実践していけば最初はメタクソ失敗しますが、素晴らしい実践経験値になります。これは整った研修所で言われるまま、作業するよりも比べ物にならない、自分の宝となる消えない経験です。「生活が懸かっている」、給料を貰いながら、漠然と農作業するよりも、一つ一つの作業が生活に繋がっていると考えれば、真面目にやらざるを得ません。どっかの空手家だかボクサーが言いましたが、「百回、スパーリングするよりも1回路上でケンカしたほうが遥に胆力や経験が身に付く」全く同感です。農業は毎年毎年、問題が発生します。今年は何もなくすべてが順調だったというのは、農業始めて10年経ちますが、いまだにそんな年はありません。それでも問題を一つ一つ、毎年毎年、解決することにより自分の農業技術が高められていくことが実感できるはずです。

 そして新規就農したいのなら、とにもかくにも農地を手に入れることです。1aでも10aでもいいから、農地を取得するべきです。農地を取得し、それが農業委員会に通れば、あなたは立派に農家を名乗れます。農地が手に入ったならば、売れそうな、興味がある作物はなんでも試してみるといいでしょう。それから、人づてや、書物に書いてある農法もばんばか試すといいでしょう。そうすることにより、いい感じに自分の農法が絞られていき、考え方も多少変わり、柔軟さも出てくると思います。そこから農地を増やすなり、新しい農法を試すのも、今の農法を突き詰めるのもいいでしょう。ジャンルの違う農業に進出するのも面白そうです。これは自分の農地があってこそです。人の農地ではこうはいきませんからね。研修先に色んな意味で捕らわれすぎて、自分の技術は高まらないし、何時まで経っても自分の農地は無いし、独立するタイミングも失い、だらだらと時間を過ごしている人や、自分探しのように研修先をコロコロ変え、何時まで経っても独立しない人もいます。

 農業は1年1年が勝負です。作物のほとんどが1年に1回しか植えられません。つまり1回作付けを失敗したら、再チャレンジは来年に持ち越しになります。こんな感じで1年が凄く貴重になります。そうしたら、若い大事な時間を無為な研修で潰していいわけ無いでしょう。草刈も、肥料播きも、農薬の撒き方も、堆肥の作り方も、耕運機の運転も、種まきも、農業に就けば、嫌でも覚えます。というか、できないと暮らせないので。畑作は基本的に、草取りガッツリと、種まき時期を間違えなければ、90%は成功したと言えます。あとは程よい肥料分と、そこまでぶっ飛んだ気候さえなければ、大丈夫と言えます。作物が安定して作れるようになってからで、十分販売先は間に合います。作物あっての販売先なので、販売先ばっかりに気を取られすぎて肝心の商品が無い、というのは最近の就農者にありがちです。栽培技術が無く、マイ農地も無い、それでも何とか農業で商売をしたくて、他の農家の作物の転売ばかりする。これではいつまでも農業に就けないでしょう。やはり成功している新規就農者さんは、自分の技術をきちんと磨いて、身に付けている人が多数です。

 新規就農者の8割は農業1本で食べていけないそうです。それは私も同感です。最低3~5年は農業のみでは暮らしていけないでしょう。だからこそ、研修や、中途半端な農業大学校に通うより、1日でも早く農地を取得し、作物を植えるのが、農家に就く最短コースだと私は考えます。


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コメント
研修が必要かどうかは人それぞれ。
例えば、カレー屋さんのフランチャイズは、勤務経験を積んでから独立。ラーメン屋は、独学で起業など。
しかし、いつも疑問に思うのは、農業だけ研修なのか。研修という制度のもとに、搾取されてしまいます。
一つ言えるのは、新規就農は田舎に行くので、周りの人を信用しないこと。
田舎は都会ほど、理不尽なこと、常識がないことばかり、を絶対に忘れてはなりません。
研修の実績があると評判の伊豆の国のミニトマト研修農家のやっていることは犯罪ですので要注意です。
【2017/02/24 20:09】 | ゆきおちゃん #- | [edit]
もし何らかの事情で私が研修生を受け入れなければならない状況になったらと考えてみました。

「今まで試行錯誤で積み上げてきた栽培技術をなんで赤の他人のおまえらに公開せなあかんのや。」

と思うでしょうね。
そして草むしりや農薬散布にコキツカッテやります。

参之介さんの言われるようにネットの情報でたいていのことは解決します。
先輩農家のブログの写真をじっくり観察するだけでヒントが見つかります。
(問題意識があれば)

【2017/02/24 21:23】 | 小松菜 #- | [edit]
研修というと聞こえがいいですが、補助金や労働力確保を目当てにした研修先が多いのかもしれませんね(そうじゃない奇特なトコロもあるかもしれませんが)。
10年ほど前に、某県の事業で「新規就農希望者見学ツアー(みたいな名称)」に参加したことがあります。30人くらいが参加し、バスで移動しながら、ミニトマトやイチゴのハウス栽培をしている研修農家を見学しました。個人的には、露地栽培を希望していたのですが、某県の見学ツアーはなぜかハウス栽培ばかり。自宅から一番近いということもあったので、まぁとりあえず見学してみよう、と参加してみたわけですが、バスの中でも「ハウスならば新規就農者でも、なかにはこんなに稼いでる人も居ますヨ」的なアピール満載!まぁそんな人は全体の1%もいるのか知りませんけど。
で、研修農家では、ナンチャラ賞とかを受賞したというオーナーが、「ココハスバラシイデスヨ!・ナカマモイマスヨ!」と熱弁していました。そこには研修している人が数名おりましたが、やってたことは、ほぼ雑用。「これが研修?」と思い、質問タイムにオーナーに聞いてみると、「イヤァ、こういう苦労を経験するのも研修のひとつですから、とくに若いうちはね」ときた。私、もう嫁さんも居たので、この“研修と呼ばれるもの”をやってる暇は無い、と速攻判断しました。
その後、結局は就農していませんが、親父の土地で野菜作りのマネゴトをしています。いつになったらメインの生業が農業になるのかわかりませんが、失敗しながら「今度はこうやってみよう」と、とりあえず売れそうなモノに毎年チャレンジしてます。
【2017/02/28 11:50】 | 鍬徒労・バジーナ #- | [edit]
初めまして。新規就農を考えている枝豆子といいます。
家庭菜園を400㎡ほど3~4年やっています。やるにつれ新規就農のために
1~2年という時間を研修に回すのは本当に必要なのかと悩んでいた所です。

参之介さんの意見に激しく同意なのですが、
農業委員会に営農計画書等を提出する際に、研修経験のない(家庭菜園だけの)人間を通す可能性はあるのでしょうか。
農業委員の参之介さんにぜひお聞きしたく、ROM専門でしたが書き込みさせていただきました。
夏期のお忙しい所すみません、お答えいただけると幸いです。
【2017/07/03 14:24】 | 枝豆子 #- | [edit]
>枝豆子 さん。
> 農業委員会に営農計画書等を提出する際に、研修経験のない(家庭菜園だけの)人間を通す可能性はあるのでしょうか。

可能性はありまくりますね。委員会なんてウルトラ適当間抜けアホアホ集団ですから(現役の委員の私が言うのですから間違いないです)、簡単に審査を通してしまう可能性は多々(99%ぐらい)あります。が、万が一、審査が厳しかったり、うるさい意見を黙らすために、書類上は「自分の農地をやりつつ、どっか適当な所で研修する」とかを書いとけば、多分大丈夫でしょう。委員会はあなたがどこで研修してるか確かめる事も絶対しません。もし億が一「研修してますか?」と尋ねられたら、「これから研修するところです」か「研修先を探しています」で永遠に通しましょう。要するに委員の審査が通って、農地を適正に借りられる、もしくは購入できればこっちのモンです。全て書類と口先だけで、乗り切りましょう。面接も地域によってはあるかもしれませんが、企業面接に比べれば鼻くそ同然です。丁寧に且つ堂々と殊勝に謙遜に話せば、委員会の老害はイチコロです。自分の本心を悟られないよう、表面だけの薄皮1枚だけの関係を保って下さい。トラブルは避けつつ、自分のテリトリーだけは死守しましょう。田舎の人は自分たちの興味や暇つぶしのために、色んな意味で土足で上がり込んできます。地元の警察や、行政はほとんど役に立ちません。それを念頭に置いて農業をしましょう。

研修は1ミリも必要ないです。1日でも早く農地を手に入れて、草1本抜いたほうが研修より万倍ためになります。研修は時間の無駄というか人生の無駄です。他人の肥やしになるのは避けて下さい。農業関係の書物はそれこそ図書館を開けるくらい、発行されています。その中で自分の興味のあるモノだけチョイスしてやっていけば充分身に付きます。農業では経験に勝る勉強は他にありません。農業は実践が全てです。なので1年1年を大事にしましょう。
【2017/07/03 15:34】 | 百姓 参之介 #- | [edit]
>参之介さん
大変詳しいご回答ありがとうございます。可能性はありまくるという言葉、とても背中を押されました。
「自分の農地をやりつつ、どっか適当な所で研修する」等で切り抜け、どうにか農地を取得しようと思います。本当に農業は実践が全てですね。年に1回しか採れない野菜の栽培経験の貴重さといったら・・・。
新規就農方法を検索すると行政のページでは大抵「農業大学校へ行く」or「先進的農家で研修」or「農業生産法人で研修」となっててそれ以外の道が示されておらず、いきなり自分で実践したい人間はどうしたら・・・と思っていました。
あと厚かましくももうひとつお聞きできればと思っていたのが、農地取得に関して農地付き物件をいきなり購入するのは無謀でしょうか。旧農家住宅で隣接農地1筆&徒歩3分が3筆(水路なし)。これまた行政のHP等では農地は借りるのが鉄則という事が書いてあり、最近は間に行政が入って借りやすくなっているのかなぁとは思うのですが、隣接農地というのがとても魅力的で。
家庭菜園で借りてる畑も「堆肥入れても結局は他人の土地」という思いがあり、「大家」との関係も気をつかうし(歴代借りた中には変な人もいたので)最低限度の面積だけは誰に何も言われない土地を確保しようかと思っています。
ただ不安は、①取得したらもう売れなそう ②土地への初期投資が大きすぎる? ③実際やってみないと土質がわからない。というのがあり、危険な賭けなのか悩んでいます。
【2017/07/04 14:17】 | 枝豆子 #- | [edit]
>枝豆子さん。
>新規就農方法を検索すると行政のページでは大抵「農業大学校へ行く」or「先進的農家で研修」or「農業生産法人で研修」となっててそれ以外の道が示されておらず

↑は行政は県、もしくは国から言われた事をそのままコピペで書いてるか、言っているだけです。10年前の私の時でも一緒でした。全くブレなく変わっていません。行政は、「前例踏襲」が全てなので、変わったことや、新しい事をしようとすると、周囲から猛烈に叩かれます。日本人悪特有の「同調圧力」が更に磨かれてダメのダメダメになってます。そこらの地方が金太郎あめみたいにハンコを押したように財政が悪化もしくは、過疎が進むのは主にこのせいでもあります。最近は大手の日本企業がそうなりつつありますが。話がそれましたが、行政は農業をやったこともないのに、そう書いているだけです。というか、分からないんですよね。彼らにとっては新規就農などは、余計な仕事を持ってきた、面倒くさい存在にしか思っておらず、それでも表面では一応適当にあしらっておかないとゴネられたら困る、こんな扱いでしょうね。とにかく何か言われたら某宗教団体のように「研修するぞ、研修するぞ」と口先と書類だけで通しましょう。向こう(行政側)もこちらに興味は無いですし、こちらも表面だけの頭の悪いクソガキを諭すように、紳士的に丁寧に相手しましょう。行政側と揉めても何も得しません。そういう存在と割り切りましょう。

農地を借りるか、購入するかは、不動産の賃貸がいいか、持ち家がいいか議論に酷似しています。借りた場合は何かあった時のリスク回避がしやすいというメリットは確かにあります。ですが腹を決めて農業をする場合は購入したほうが遥かにメリットがでかいです。農地が隣接しているというのは最強のコストパフォーマンスです。多少荒れていようが自分の農地なら、ゆっくり開墾していけばいいだけです。畑地を荒らす動物が出るなら電気柵をはればいいだけ。動物も飼えるし、鶏や、その気になれば馬も飼えます。ただ実際見て見ないと何とも言えませんがね。
①については、農地自体は固定資産税がタダに近いので、もし売れなくても大した負担にはあんまりならない。
②は10年以上使うなら、トントンにできるか。農地の相場は畑地で1反(330坪)で20万前後。場所によっては上限がかなりある。前回委員会で購入申請した人は、1反1万で購入してました。
③は気合で開墾しまくれば、多分大丈夫かも。よっぽどの農地でなければ。

ただ農地を買い、住居を構えるとなると、トラブル製造マシーンの「町内会」というものがありまして、そこらへんは書くと猛烈に長くなるので割愛を。少しググるだけで例が死ぬほどヒットします。なので、町内会を嫌って、農地を購入したのにも関わらず、わざわざ農地から離れた新興住宅に住み、通っている農家さんも多々います。
【2017/07/04 15:47】 | 百姓 参之介 #- | [edit]
>参之介さん

>彼らにとっては新規就農などは、余計な仕事を持ってきた、面倒くさい存在にしか思っておらず、それでも表面では一応適当にあしらっておかないとゴネられたら困る

行政がこんな感じだとすれば、近年の新規就農増やそうキャンペーンも形だけという事ですかね(なかには一生懸命やってくれる職員もいるのでしょうが)。農地についてもそこで「町内会」も込みで腰を据えてやってく覚悟があれば、という感じですね。詳細にお答え頂き大変参考になりましたありがとうございました。参之介さんの文章はウェットに富んでいて面白いので今後ともブログ楽しみにしています。
【2017/07/05 23:59】 | 枝豆子 #- | [edit]
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