新規就農のススメ

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まるで成長していない。

 先日の話ですが、前回何時行ったのか全く思い出せないのですが、激極久しぶりに、地元の小さな直売所を見に行きました。そこは直売所というよりも、安価な雑貨がメインで、直売所はオマケという感じの店です。かくいう私も、その雑貨が目的でお店に入りました。レジを待つ間、横に置かれている野菜にふと視線を向けると、真冬なのにトマトが置いてありました。まあ、それは別段驚くことじゃあないんですがね、注目したのは生産者の名前です。そのトマトの生産者は私とほぼ同時期に新規就農し、私は露地野菜で就農(他に選択肢が無かったので)、もう片方の人は水耕トマトで新規就農でした。




 この事はずいぶん前にこのブログで書いたかもしれませんが、この人は水耕トマトの名産地で研修をして、地元に戻ってきて自分でも水耕トマトを始めようとする、なかなかに鼻息の荒い人でした。就農してハウス栽培を始めるというのは、これといって今でも珍しくありません。この人が印象に残ったのは、新規で4000万全て借金という豪快というか、危ねえというか、そういう意味で凄い人でした。4000万という金額ですので、資金繰りはそりゃあ揉めました。定職に就いているわけでもない、何か資産や担保があるわけでもない。なにせ家を買うのと違い、ビニールハウスの減価償却は僅か10年。その間に4000万を返さなくてはなりません。10年で4000万というと、毎月約33万の返済。何度も書きますが、私はこれだけの収入があったら働かない自信がモリモリありますね。結局、新規就農給付金という無利子の資金は、窓口である振興センターが許可を出さなかったので、というか私が担当者でもまず許可出しませんよね。販売先も何も、全て机上の空論状態だから、どう試算してもムリゲーですね。それで振興センターとは怒鳴りあいぐらいして、農協に行って借りたみたいですが、無利子だったのかなあ。その後ハウスが完成したというから、見にいって、少し話しました。もう鼻息が凄くて、興奮しまくってましたね。これで、どんどんトマトを生産して、ガンガン売って行くんだと。トマトの出荷する箱もオリジナルなデザインにして、ブランド化してー、と私はその時始めたばかりでロクな物が作れてなかったので、ただ頷いていただけでしたが。それ以来会う機会もなく、たまに話が耳に入りますが、水耕トマトなので生産量が半端ない、でも売り先がないので、結局直売所巡りをして、商品を卸しているらしいが、いかんせん直売所は大量に捌けないので、随分返品されてるらしいよ、と聞かされました。私はまあ、始めて間もないからこれからだろうと思い、それから8~9年ぐらい経ったのかな?会う機会もありませんでしたが、まだこんな小さな直売所に卸しているのか、まるで成長していない・・・。確かあそこのハウスからこの直売所まで、車で40~45分ぐらいかかるはず。全量買い取りしてくれる所ならまだしも、こんな1日50人も来ないお店に卸すとは、な・・・。
 彼はよく言ってました、糖度を高くして、1個あたりの単価を高くすると。そんでデパートや有名ホテルに卸すと。それが今だにこんな安売りで直売所か。まあ、気持ちは分からんでもない。大量に卸すのなら農協という手があるが、規格と手数料がべらぼうにヤバイ。そうなると直売所しかない、と。私は直売所を否定する気はさらさら無いですが、直売所自体はオワコンまで行かなくても、頭打ちなのは確かです。大都市に隣接したり、立地条件が素晴らしく良い場所なら、多少はいけますが、直売所で農家が生活するだけの稼ぎが得られるとは私は到底思えません。大体、地元の直売所だと、100円の商品がほとんど。高くても150円。これで手数料が20%近く引かれるとなると。1万稼ぐのにどのくらいの量と、日にちがかかるのか。毎日毎日卸しに行く人がいますが、あれも非効率極まりないですね。しかもね、卸した商品が全部売れるとは限らず、返品率がかなり高いのも直売所の特徴です。どこか他に卸先は見つからなかったのかなあ。それともどこかデカイとこに既に卸していて、その余りものを直売所に卸していたのかな。でもそれならますますこんな辺鄙な直売所に卸す意味がないよなあ。この人も研修は北関東だったし、新規就農の場所が地方だったから、そこからの枠から出られなかった、ということになるのかしら。それでも、東京に営業に行くとか、確かに水耕トマトは土耕と違い、味がのりにくいが、生産量で勝負するとかねえ、いい売り先はないもんかしら。ああ、そういやあ近くの大きいハウスの爺さんも、売り先は直売所がメインだったなあ。何故、そこまで都会に売りに行くのを嫌がるのか、不思議です。このままだと、ジリ貧にしか思えないですけどね。
 
 今回は長くなりましたが、色々と昔のことを思い出してたらこうなりました。うむう、オッサンになった証拠とでもいうのか、認めはせん、認めはせんぞー!











 地方はますますこれから衰退します。沿岸部だけで15万人もの人が出ていったそうです。震災の関係もあるでしょうが、この地方から人がいなくなるというのは、もう止められません。東京は年間50万人もの人が集まってきています。隣接している所を入れたらその倍はいくでしょう。少子高齢化の時代、東京だけは人が異常に増えています。いや、異常ではないか。江戸時代から幕府が禁止令を引くくらい東京に人が集まってきた。これはどうしようもない事象なのでしょう。それに対してこれから10年後、地方はどうなるでしょうかね。その時に農業はどうなるか、見ものです。
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10 Comments

はじめまして通りすがりです  

No title

いつも勉強させてもらってます。
平日サラリーマンの週末農家で、今は露地畑5a・田8a・梅7aをしている者で、今後徐々に面積を増やしていこうと考えています。
さて、周辺のほとんどの農家は花卉ハウス栽培の地域なんですが、秋に花の苗を植え付け、5月頃まで収穫しているみたいですが、その5月に農協が一斉にハウスのビニール&苗代等を口座から引き落としにするみたいですが、それだけの残高が残っていない農家が出てきていると。
半年間(植付の準備まで含めると丸1年)汗水たらして、赤字…。
それでも、あの方たちは疑問に思っていないのでしょうか、また次の年も同じ物を同じようにを栽培し、同じように出荷している。
自分が作っている「花」を買いたいか聞いてみると、「こんな花を誰が買っているのか知らないが、自分は買いたいとは思わない」と・・・。
典型的な「農協に言われるがままの何も考えない農家」ばかりです。

2016/02/18 (Thu) 08:52 | EDIT | REPLY |   

百姓 参之介  

Re: No title

>はじめまして通りすがりです さん
このような農家を私は「脊髄反射農家」と名付けました。

読んで字のごとく脳ミソを通さず、何も考えないで作付、農業をやる。考えることはすべて農協や行政に任せる。米農家なんかはモロそれですね。私の周りの農家もほぼ100%、脊髄反射農家しかいません。どうすんだ日本の農業。

2016/02/18 (Thu) 15:15 | EDIT | REPLY |   

農業  

参之介さんはどこで野菜を売ってるんですか?

2016/02/19 (Fri) 10:44 | EDIT | REPLY |   

兼業農家  

No title

初めまして、ネットで新規就農を検索したところ参之助さんのブログに遭遇し参考にさせていただいてます。実家が80aほどの米プラス自家野菜を作っており、自分も米作りを手伝う兼業農家です。
いつか専業農家になりたいと思っていますが、現在独身であり参之助さんの新規就農者への助言のなかで単身では厳しい旨のご意見、拝見しました。単身でかつ露地野菜という営農類型で就農を続ける
ことが出来る確率(農業のみで生活出来る)はどの程度でしょうか?露地野菜といっても人それぞれなので大変愚かな質問かと思いますが。
あと、パート雇用の導入は考えておられませんか?

2016/02/20 (Sat) 08:33 | EDIT | REPLY |   

百姓 参之介  

Re: No title

>兼業農家 さん。
私の知る限りでは、単身で成功というか、続けている人はいませんね。つまり地元では0%となります。探せばいるかもしれませんが、ほとんどいないのは確かです。それくらい一人で農業というのは厳しいです。

今の時代一番高い経費が人件費です。なのでパートの雇用は今の私の規模では考えておりません。

2016/02/20 (Sat) 16:04 | EDIT | REPLY |   

兼業農家  

No title

コメントありがとうございます。確かに省力化の進んだ米作でさえ
単身では難しい場面あるので、ご意見もっともだと思います。
ブログ拝見する限り参之助さんは単身で農業行われてる気がしたのですが、もし勘違いならすみません。

2016/02/20 (Sat) 17:40 | EDIT | REPLY |   

北国の住人  

No title

はじめまして。4000万円全て借金とか自分が農家だったらそこまでの投資は出来ないですよ。祖父は大工との兼業で米作りをしていましたが「借金してまで農業はやるもんじゃない」と常々言っていましたね。大工で手先が器用なこともあり機械や設備関係の修理・立ち上げもほぼ一人でやっていたので近隣の農家より優っていたのかなと思います。

トマトだと露地ではミニトマトの放任栽培、ハウスだとハイポニカ農法が手間やお金が掛からないと思います。どちらも基本的にトマト本来の生命力を活かすので病気も少なく尻腐れ・割れなどの症状もほとんどないので収量が通常の倍以上なそうです。ちなみにハイポニカのプラントは2反で600万円ほどしますが原理は熱帯魚の水槽と同じなのでホームセンターで液肥を入れるコンテナ、液肥を循環させるポンプとエアーレーションを揃えれば自作できます。ハウスも離農した農家から骨組みを貰ったり米農家の育苗後に空いている時期を借りればお金はかかりませんし、工夫すれば設備投資は意外と抑えられますね(笑) 長文失礼しました。

2016/02/23 (Tue) 00:25 | EDIT | REPLY |   

濱田基久  

お忙しい所すいません

 参之介さんが使っているトラックの最大積載量を教えていただけるとありがたいのですが。

2016/03/12 (Sat) 18:52 | EDIT | REPLY |   

百姓 参之介  

Re: お忙しい所すいません

>濱田基久さん。
私は軽トラと軽バンしか持ってないのです。

最大積載量は、軽トラ250キロ、軽バンは200キロだと思いました。

2016/03/14 (Mon) 08:44 | EDIT | REPLY |   

濱田基久  

NO TITLE

 ご返事ありがとうございます。

2016/03/14 (Mon) 15:30 | EDIT | REPLY |   

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