新規就農のススメ

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⑦番外編・直売所で売るには

 直売所はやりようではかなり儲かりますが、ライバルも多く品物は何を出したら良いかなど、新規就農だと厳しい点が多々あります。しかし「イイモノを作っていれば、いつか必ず売れるようになる」とか悠長なこと言ってられませんし、作物をどんどん換金していかなくてはなりません。そこで私が直売所に出品(私は露地野菜農家なので、他の作物に関してはあまり分かりません。なので野菜メインで書いていきます)して感じたところや、こうしたら売れるということを書いていきます。あくまで私の意見なので、完全に鵜呑みせず、自分なりにアレンジしてみてください。

(1)野菜は何を作るか
 直売所も売れる時期と、売れない時期があります。売れる時期はお盆、ゴールデンウィーク、お正月などですね。この時期は人も出ますから売り上げも伸びます。なのでこれに基準をあわせて作っていきます。売れない時期は、気温が低いとき、雨の日、給料日前などですね。ここは売り上げが当然落ちますので、無理して出品せず我慢しましょう。
 直売所に出すときよく勘違いするのが、「誰も作ってない野菜ならライバルがいなくて、独占販売できる」です。確かに誰も作っていなければ一人勝ちでしょうが、売れなければ意味がありません。これには大きな落とし穴があります。つまり「誰も作っていない」イコール「誰も知らない」ということです。農家の人が知らないわけですから、当然お客も知りません。食べられるのかも、調理方法も、甘いのか、辛いのかという基本情報も分かりません。出した商品に説明を添付してもなかなか売れないでしょう。根気よく続ければ、多少は売れるようになるかもしれませんが、あくまで稼ぎのメインにはならないと思います。かくいう私もヤーコンというのに手を出して大損した苦い思い出があります。ヤーコンは健康に良いといううたい文句で入ってきたのですが、いかんせん調理方法が分かりずらく、
面倒くさいので、全然売れませんでした。確かに健康に良いモノだったら、何もヤーコンでなくても他にたくさんありますから。お客さんは調理が面倒くさいのは嫌がります。生か、煮たり、焼いたりすぐ食べられるモノが良いのです。ですので、野菜は従来の品種を作りましょう。これなら説明も不要ですし、お客さんも一目瞭然です。

(2)美味しい野菜を作ろう 
 有機無農薬の作物が全てにおいて美味しいかというと、疑問がありますが、私は農薬と化学肥料タップリの作物は美味しくないと実感しています。これは実際に食べ比べるとハッキリ分かります。だからといって有機栽培を薦めたり、化学肥料や農薬は悪とも言いません。これは作っていく人たちが決めることですから。つまり何が言いたいかというと、自分が食べて美味しい作物を作ろうということです。自分が食べて美味しいなら人に自信を持って勧められます。逆の場合だと、騙してるみたいで不満が残ります。美味しければ確実に売れるようになります!

(3)値段をどうつけるか・安売りは絶対しない
 値段は回りにあわせて付けるのが一番ですが、なるべく自分に妥協しない値段をつけましょう。よく大根を50円とかインゲンを30円とかつける人たちがいます。こいうふうに値段を付ける人は、確実に兼業農家かすでに高齢で年金暮らしの年金農家です。この人たちは生活がかかってないので、適当に値段を付けます。「まあ売れればいいや」そんなカンジです。しかし私たちはそうも言ってられません。これで食べていかなければならないのですから。だから値段を付けるときは、種代、農薬代、肥料代、諸経費、梱包代、人件費を考慮して付けましょう。農業はボランティアではないのですから。
 これもよくあるのですが、「お宅の大根120円だけど、むこうのスーパーで大根50円だよ」ということをよく言われますが、スーパーは野菜だけを売っているわけではないのです。野菜を下げた分、他の商品で釣り合いを取ってますし、全ての商品の総売上で店の売り上げが決まります。何より資本力が違います。そういうところと比べる時点でナンセンスというのが分かるでしょう。
 値段は他の人より50円増しぐらいがちょうどいいかもしれません。そのかわりキチンとした作物を作りましょう。

(4)商品アピールをしよう
 いくら美味しい作物を作っても、手にとって買って食べて貰わなくては作物の価値が伝わりません。しかし、その買わせるまでが大変なのです。商品を出しているのはもちろん自分だけではないので、他にもたくさんあります。その中でただ漠然と並べていてもなかなか売れません。他の商品を選ぶのでなく自分のを買わせるには、まず自己アピールをしましょう。採ってきた作物をそのまま並べるのではなく、きれいに包装しましょう。人はまず視覚でモノを見ます。どんなに美味しい料理でも、ドブ色の料理は食欲が涌きません。有機無農薬だからといって、虫がたくさん付いているようなのは、いくら安心安全と謳っても、手に取りにくいのは確かです。
 高齢の農家や現存の農家はそういうことを極端にケチるので、まずやりません。せいぜい袋に入れるぐらいです。ですからラベルを作り商品に貼りましょう。ラベルには食べ方、栄養素、お勧めする点などを簡潔かつわかりやすく表示しましょう。それを貼るだけで、他の出品者に差を付けられますし、自分の商品を覚えてくれたお客様が、次に自分のを買うときに選びやすくなります。しかも、目立つので商品管理がしやすくなります。在庫の確認などが効率よくできます。絶対ラベルははりましょう。今はパソコンですぐに作れますし、そういうソフトも2000円~3000円ぐらいで安く売ってます。特にパソコンは超使うので買っておきましょう。5万円ぐらいので十分ですから。高齢の農家はもちろん持ってませんし、現存の農家は持っていてもなぜか活用しません。もし珍しい品種でも調理法のメモでも入れといてあげると、多少売れ行きが変わります。
 自分がもしお客さんだったら、という立場でどういう商品だと買うのかよく考えてみましょう。

(5)他の人とずらす
 良い商品を作って、どんなにアピールしても、同じ種類の商品が山盛りだと、さすがに売れにくくなります。だからなにもかも、他の人とずらしましょう。
 まず種を撒く日をずらしましょう。現存の農家はものすごいマニュアル人間なので、早蒔き早取りが超好きです。「早く出せば他の人より高く売れる」確かにそうかもしれませんが、皆同じように早く撒いていれば意味はありません。特に昔と違い種苗の開発が進み、厳密にこの日まで撒かなければ採れない、という作物は品種にもよりますがあんまりありません。ですから他の農家よりも少し遅めに撒きましょう。すると収穫も少し遅れるので、他の農家が収穫し終わったあとにゆっくり出せば、ちょうどよく山盛りに巻き込まれなく、山盛りが無くなった頃に出せます。
 長く収穫しましょう。ほとんどの農家が家庭菜園クラスの野菜しか作っていませんので(日本の農家はほとんど稲作。だから野菜は家で食べる程度しか作らない)、もし収穫が重なり山盛りに巻き込まれても、1~2週間我慢して出し続ければ、他の農家は収穫が終わります。ですから収穫は細く、長く採りましょう。大量に持っていっても1日で100個は、まず売れませんから。
 私は前述した通り、ハウスがありません。だから全部遅撒き、遅植えです。そのおかげか、作物が山盛りに巻き込まれることはほとんどありません。あせらず、じっくりやりましょう。


次は「番外編・参之介が薦める直売所で売れる野菜」です。
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3 Comments

リフ  

No title

初めまして。
自分は今、農業大学に在学してるのですが来年の3月には卒業です。
卒業後は就農を考えてるのですがその為に何をどうしたら良いのかわからずにネットを調べてたらこのブログを見つけました。
今考えてるのは何を作って、何処に売って、どれくらいの利益が出るのか?
このブログには新規就農者は直売所に売るのがやりやすいと書いてありました。
地域が違うので難しいとは思いますが1年間でどれくらいの利益が出るモノなのでしょう?
良ければご教示ください。

2015/08/06 (Thu) 18:06 | EDIT | REPLY |   

百姓 参之介  

Re: No title

>リフさん。
りふさんが、全くのゼロベース、つまり親戚や両親が農家でない場合で新規就農をするとなると、ほぼ90%で成功しないというか、暮らしていけません。最初の1年目は収益はゼロどころかマイナスからスタートなのは確実です。私の場合は利益が出だしたのは3年目からでした。どんなに知識があっても、実践し、それで暮らしていこうとすると今までの知識はほとんど通用しません。新規就農で販売場所は直売所がいいと書いたのは、最初はそこくらいしか販売するところが無いからです。技術もない生産量も無いとなると、ロクな営業もできませんからね。販売方法に関しては私もそうですが、農家にとっては最大のメインテーマになります。大半の農家がソレをクリアーできないから、ガンガン離農していきます。そして誰も跡を継がないワケです。辛くて天候に大きく左右されて、その苦労に見合った収入が得られない。こんな業界を誰が目指しますか?まだ定給の出るブラック企業に勤めた方がマシという可能性もあります。

1年間でどのくらいの利益が出る。それは貴方がやる農業の職種によって大きく変わります。米を作るのか、畜産なのか、ハウスなのか、露地なのか、作柄は何をメインにするのか、それらが決まらないと私がどうこうアドバイスできません。儲かる作物というのは人によって結構違いますし、その土地柄にあった作物も多々あります。

とりあえず、質問がアバウトすぎてよく分からないので、在学してる学校の先生などに詳しく話を聞いてみたらどうでしょうか。とにもかくにもゼロベース新規就農は、スーパーハードモードなのでよくよく熟考してください。

2015/08/10 (Mon) 18:08 | EDIT | REPLY |   

リフ  

返事が遅れてしまいすみません

就農する事に決めました。
祖父が兼業農家ですので機械や農具はほとんど揃ってますのでそれを借ります。
農地は他所から3反借りる手筈も整いました。
取り敢えず今はたまねぎの苗を育てて、もうすぐソラマメを撒く予定です。

2015/10/23 (Fri) 22:43 | EDIT | REPLY |   

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